「訳者あとがき」でどんでん返しがあることが明かされてはいるものの、物語終盤の破滅SFさながらの状況は個人の力でどうにかなるようなものではなく、そこからどうやってひっくり返すのかという ハウダニット的な興味を持って読み進めていたのですが、残り頁もわずかになったところでの鮮やかな逆転には脱帽。 なので、 感情がオーバーに出てしまう空間かつ、残された人たちがもやもやした何かを消化するためのセレモニーとしてお通夜が位置づけられているのではないか、と考えられます。
7安吾にとってこのお通夜は、構ってくれなかった父親からの最後のメッセージみたいなものじゃないかな。
愛人という配役ながらも、女性が思わず憧れてしまうような魅力的な女性として表現されていて、どんなキャラクターにもどこか憎めない愛嬌があるのもこの舞台の魅力だと感じました。
だから、またどこかであったら創厳さんの話ができるのかもしれない。 子供みたいに小さいことで張り合ってる2人の姿がすごく笑えるし、いっそ滑稽でありながら、 その中でお互いが創厳に抱いていた愛情を知り、同じ人を愛した2人だから分かり合える思いが確かにあると感じられた時に、すごくじーんときました。
19略 妻としても母親としても幸せだったんじゃないですか。
サンリオSF文庫版です。
つまり、安 吾 や七生、絵瑠 の心にわだかまっているものと最後に向き合い、解消する場です。 ただし、清く正しい青春小説という一面だけではすませないところが コーニイのくせ者ぶりを表している気もします。 その2人が言葉を交わし、 本物の「兄妹」になり、安吾ははしゃぐ絵瑠を肩車して走りまわります。
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そして、ハログといえば、忘れちゃいけないのが 安吾くんの。
彼の自由なスタンスと唯一無二の創造性が一体どこから湧き出るのかいつも不思議でたまらなかったが、自伝的要素を併せ持つ本作では少なからずその源泉を探ることができる。 最近肩の力が抜けて、のびのびとファンにいろんな面を見せてくれるようになった小山さんにぴったりの舞台だったのではないでしょうか。
5粘流が到来し、戦争の影がしだいに町を覆いゆくなか、愛を深める少年と少女。
セリフ多めなとこがフランス映画っぽくて、個人的に好きなところ。
それもスクラップをかき集めて、住居にも変身できる車を作り上げてしまうのだから(ここら辺は自伝ではなく創作のようだ)、観ている側もあの夏の少年に戻ったみたいにドキドキしっぱなし。 自作の車で旅に出よう」 って感じの場面があって、これが、この14歳の夏休みが終わった後、彼らはどんな30年を歩むんだろう、とか、30年後の彼らにとっての「14歳の夏」はどんなだっただろうと、映画が終わった後にも広がりを持たせてくれる。
16結局創厳が帰ってゆくのはあなたのところだった」と語っています。
そのユーモアが、単純に「子供っぽい中学生のおバカ」だったり、「大人顔負けの深い議論」だったりして、少年と青年の間の微妙な時期、14歳の心境をみずみずしく描いている。
夏と恋とSFは相性のいい組み合わせだけど これほど見事に仕上げたのは作者の力量でしょう。 そのことが、物語後半から終盤の重要なポイントとなっている SF設定を隠蔽するミスディレクションとなっているところが、非常に巧妙だといえるでしょう。 解説 「エターナル・サンシャイン」「僕らのミライへ逆回転」などを手がけたミシェル・ゴンドリー監督の自伝的作品で、14歳の少年2人が夏休みに旅をするロードムービー。
15しかし、青春小説としての純粋さや泣かせ方から本書を推す人が多いのも理解できます。
「あなた、安吾さん? 随分ご立派になられて。